ダルエスサラーム便り


Habari za Dar es Salaam No.1


「大雨季」


根本利通(ねもととしみち)


 ダルエスサラームは今大雨季の只中にあります。昨年末の小雨季に殆ど降らず、いろいろ心配をさせられたのですが、2月下旬、小雨季には遅く、大雨季にはやや早い時期にポツポツと降り始め、4月には本格的な降りになりました。

 雨季にちゃんと降らないと、国の基幹である農業は圧倒的に天水頼みですから、食料不足が心配です。また水道の圧が減って、断水の可能性が出てきます。更に電力も水力発電の比重が高いですから、乾季には計画停電が始まることが過去何回か繰り返されています。そういう意味では間違いなく恵みの雨です。ダルエスサラームに降ってもすぐ海へ流れ出してしまいますから、穀倉地帯や水がめ地帯に降れと願うのが常です。

 小学校のそばの道しかし今年の雨は違いました。連日かなり強い雨が降り続いています。私の記憶では5年前エルニーニョと言っていた時以来でしょうか。我が家の周りの道は泥濘と化し、車高の低い乗用車では怖くなります。子供たちの通っている小学校の通学路は、いつも雨季になると水深が深く通れなくなる部分があるのですが、今年はその部分が大きく広がり、4月初めからほぼ1ヶ月間、道路が完全に水没し小川となってしまっています。そこを車は通りますが、通行人は裸足になって裾をまくって渡るか…子供やおじさんたちはいいけど、きれいな格好をした女性たちはどうするか…。と、Mkokotoniとここで呼ばれる荷車(80年代に導入された日本製ではありません)が、人を乗せて渡河(!)しだしました。1回1名100シリング(約13円)。2~3日かと思っていたら、もう3週間以上も続いている商売となり、そのうちに荷車に、座席が据え付けられていました。

 荷車商売はほほえましいと言えば言えますが、子供たちの通っている私立学校の中学校は2週間以上も、浸水で閉鎖となり、ついに午後小学校を借りで授業再開となりました。2部制の授業と言うことで、小学校も45分早く終わります。また道を覆っている水には汚水(下水)が含まれているわけで、それが一部では床上まで浸水をしているので、当然上水にも染み込みます。また下痢やらコレラやらが広まる季節になりました。

 またダルエスサラームだけでなく、各地で洪水など被害が広がっています。ダルエスサラームからアルーシャへ向かういわば国道1号線でも、橋が流されて2日間不通になるという騒ぎがありました。橋と言っても、普段は殆ど水が通らないドラム缶のようなものを通しただけの橋ですが、上流にあったマサイ定着用に作った堰が満水になって門を開いたために、あっという間に流されたということです。

 今年の大雨季がいつまで続くのか、例年だと5月中旬には明けるのですが…と思いつつ、この「例年」と言うのが曲者かと思うのです。タンザニアは大雨季は3月中旬~5月中旬、小雨季は11月初旬~12月初旬、という風に訊かれれば答えます。が、例年ならと但し書きが付きます。というのは最近「普通」の年なんていうのはなかったような気がします。例年と言うのは幻で、毎年洪水や日照りを100年以上も前から繰り返してきたのでしょうか?それとも最近の「異常気象」なのでしょうか?

 日本でも「平年」とよく言いますが、果たして平年と言うのは実態があるのでしょうか?今年のように3月に花見が終わってしまうようなことは単なる異常なのでしょうか?やはり全地球的に「異常気象」なのではないかと思うのです。京都議定書にアメリカがサインすれば済むという問題ではないでしょうが、そういう問題を棚上げにして、アフガニスタンに爆弾を降らせ続ける国への不信感は募るばかりです。

(2002年5月1日)




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