ダルエスサラーム便り


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Upepo wa Tanzania

池田 智穂(いけだ ちほ)池田智穂

第1回 Bongo 


 
 タンザニアに住み始めて、もうすぐ1ヶ月になる。こちらに来てから聞きなれないスワヒリ語をよく耳にした。「Unaonaje Bongo?」(Bongoはどうだい?)、「Bongo kuzuri?」(Bongoはいい所かい?)「Wewe ni Mboongo」(Bongo人だね。)Bongoという言葉の意味を理解するまでは何と答えてよいものか戸惑った。
BONGO(Ubongo)とは、元々は、「脳」「知能」 という意味のスワヒリ語である。それがいつしかタンザニアの首都ダルエスサラームを意味するようにもなった。なぜかとタンザニア人の知人に尋ねたところ、ダルエスサラームのような都会では様々な物事があり、毎日いろいろと考えて生活しなければならない=Bongo(脳)をフル回転させなければならないということである。
そして人によっては自分がMbongo(ダルエスサラーム人)であることを田舎者と比較してかっこいいと思っているようである。

 



町を行く人々 
 そんな脳をフル回転させている(?)ダルエスサラームの人々は実に様々な方法で日々の糧を得ている。ダルエスサラームの町を歩くと彼らの商売の多さに驚く。路肩では、焼きとうもろこし売り、靴磨き屋(靴洗いもしてくれる)、商品をとてもきれいに並べて売っている人々など…実に様々な露店が並んでいる。靴を売っている店に行くと、なぜか両足の靴を揃えずに売っていたり、片方だけ置いてあったりする。これは盗難防止の為らしい。靴は片方だけなんて、誰も盗らないだろう。こういったあたりは、まさにBongoを使っているなと感心してしまう。

 

サンダルのディスプレイ
 また、車を運転中、信号で停車すると必ずといっていいほど物売りの人たちがやってきて窓越しに商品を売り始める。車の往来の激しい大通りでである。危なくないのかとこっちが心配してしまう。彼らの売る商品は、カシューナッツ、果物、寝具、服、電化製品、はたまた車の停止表示板まで、とてもバラエティーに富んでいる。スーパーマーケットに行かなくても、たいていの物は路上で手に入れることができる。
 

ムシカキ
 Jua Kali(スワヒリ語で「日差しが強い」という意味。炎天下に屋外で仕事 をしていることからこう呼ばれる)と呼ばれる人々は炎天下にせっせと家具作 りや車の修理に励んでいる。
他にも、自宅で作った*chapati(チャパティ)、mandazi(マンダジ)、sambusa(サモサ)などを大きなタッパーに入れて売り歩くMamaたち・・・卵などを頭のせて売り歩く姿にはそのバランスのよさに圧倒される!彼らはまさにBongoと体を使って仕事をしいる。
このような、ダルエスサラームの人々の日々の光景は、私に人間の力強い息吹を感じさせてくれる。

 

卵売りのママ
 Bongoにまつわる話でもうひとつ。1990年代初頭から、ダルエスサラームのストリートから起こり、タンザニアの若者を中心に人気のある音楽もまたBongo Flavaという名で親しまれている。Flavaとは造語で、多様で独特な都市とそこに暮らす人々のことを指す。すなわち、Bongo Flavaとはダルエスサラームの都市と人々のことを歌う音楽というところだろうか。
Bongo Flavaには決まった形式はなく、ラップとヒップホップ、リズム&ブルースが混合しており、歌詞の中には歴史や文化、アイデンティティーというものを窺うことができる。
Bongo Flavaにはいくつかのカテゴリーがあり、メッセージ性のあるものから、娯楽のためだけのものまである。ここでBongo Flavaの歌の一節を紹介したい。

 

バス停



Bongo Eeeee(ndani ya Dar es Salaam)―頭を使わなきゃ(ダルエスサラームでは)
Utalialialia(nadani ya Dar es Salaam)―君は泣いてしまうだろう(ダルエスサラームでは)
Kaa chonjo(ndani ya Dar es Salaam)―用心しなきゃ(ダルエスサラームでは)
「Bongo Dar es Salaam By Prof.J」

Heri nitoe roho niepuke na hili balaa ―魂を心から取り除いて、この不安から逃げたほうがいい
maisha nichezayo―私のふざけた生活
sasa nimelala na njaa ―今は腹を空かしながら眠る
chemsha bongo kabla hujapangwa kabla hujaduwaa―よく考えよう!気が狂ってしまう前に、何も言えなくなる前に
「Chemsha Bongo By Mr.Two」


 この歌詞から、皆さんはダルエスサラームをどのような都市だと想像するだろうか。一見とても大変で住みにくい都市のように聞こえるかもしれない。しかし、この歌を歌う彼らの明るく陽気なこと!彼らは、日々の悩みを抱えながらも、それを歌にし、笑い飛ばす明るさも持っている。Bongo FlavaはそういったBongoの人々が作り出す音楽である。
 まだ、ダルエスサラームに住み始めて1ヶ月、これからたくさんのWabongoたちに出会うのが楽しみである。

サンダル売りの兄ちゃん
(2005年5月)


  *Upepo wa Tanzania(タンザニアの風)では、あるスワヒリ語をキーワードに、池田智穂がタンザニアの日常について紹介していきます。


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