ダルエスサラーム便り


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Tupo No.6

幾山未有


 

幾山 未有(いくやま みゆう)




 CHIBITE in Bagamoyo 



  先日、CHIBITEの家を訪問しました。CHIBITEは、かの初代大統領ニエレレも絶賛したというフクウェ・ザウォセの親族が中心メンバーとなっている民族音楽グループです。出身はドドマで、ゴゴ民族の人たちですが、現在はバガモヨに住んでいます。今回は、そのバガモヨの家にお邪魔して、演奏を聴いたり、楽器や歌を教えてもらいました。

演奏してもらったのは、フクウェ・ザウォセの子ども、ジュリアス、タブ、アルフォンスの3人で、親指ピアノ、弦楽器、カヤンバ(シャカシャカならす楽器)などを演奏してくれました。それぞれの楽器は、さらに大きさによって使い分けされており、たとえば、親指ピアノでは、一番大きなものから、イリンバ、リンバ、チリンバ、チリンバリンバといいます。また、弦楽器も大きいものはゼゼ、小さいものはチゼゼと呼びます。

<左:タブとイリンバ(首にはチリンバリンバをかけている)、中:リンバ/チリンバ/チリンバリンバ、右:ゼゼ>
 少し話が音楽から逸れてしまいますが、ドドマのゴゴ語では小さいものに「チ」とつけるというので、イリンガのへへ語によく似ているね、と話したところ、タブが面白い話をしてくれました。実は、ドドマの民族ゴゴの人たちと、イリンガの民族ヘヘの人たちは、親戚関係にあるというのです。おばあちゃんに聞かされた話によると、ドイツ軍がイリンガを攻めてきた頃、イリンガのへへの人たちは、ドドマまで逃げてきたといいます。そして、ドドマのゴゴの人たちは、かれらを家に匿い、ドイツ軍に聞かれても、「そんな人たちはこっちには来ていない。」と嘘をつき、へへの人たちを守ってくれたそうです。このお話の真偽は分かりませんが、昔からドドマではそういった言い伝えが親から子へ語り継がれているそうです。「だから、へへはゴゴの親戚なのよ。だから仲良しだし、言葉も似てるのよ」とタブが教えてくれました。実は私はタンザニアではへへ民族と名乗っていたので、嬉しいことに、私はタブと親戚ということになりました(笑)
 話を楽器に戻すと、ザウォセ家の親指ピアノは、その辺のお土産やさんで売っているものとは違います。材料は、自転車のスポークや空き缶などリサイクル材を使用してはいますが、ハーモニーを奏でるよう、鍵盤一つ一つがきちんとチューニングされています。また、ザウォセ家の親指ピアノの特徴のひとつとして、蜘蛛の卵膜を利用します。この卵膜は、ドドマで養殖しているこだわりのもので、それを親指ピアノの真ん中の穴を塞ぐようにして貼り付けます。(唾液で貼り付けて、火で炙って固める。)これによって、鍵盤の澄んだ音に「ビーン」という違う響きが加わります。これがこの親指ピアノの音に深みを加え、独特の音を奏でます。昔ながらの楽器ですが、非常に洗練されている楽器なのです。

<左:卵膜を貼っているところ。火で定着させる。右:きれいに音階になっているリンバ>
 さて、演奏は・・・息をするように、会話するように音楽を奏でるCHIBITEの3人。当日降っていた雨と混じりあい、しっとりとした音楽を聞かせてくれました。また歌声も、透き通った声やこもった声、力強い声など様々な声色を披露してくれました。



 その後、チリンバを使って、基本のフレーズを教えてもらいました。彼らの音楽には、楽譜がないので、実際の演奏をまねしながらやってみます。CHIBITEの3人は手元を見ずにいとも簡単にひいていましたが、実際には一つの鍵盤をはじくのが難しく、複数鳴らしてしまうのです。この基本のフレーズができたら、その音楽に乗せて歌います。

『ホイエ~マデゲクァンガ~ホイエ~♪♪』(鳥たちが大きく羽ばたく) CHIBITEに混じってチリンバを弾きながら歌を歌っていると、独特のCHIBITEの和音の中に自分も溶け込むような感覚になりました。ただ、一人で弾くとなんとも情けない音色なので、これはまだまだ練習が必要そうです。マイチリンバを購入したので、次回バガモヨへ行くまでにまた練習したいと思います。

(2017年5月15日)




*Tupo とは、スワヒリ語で私たちは(一緒に)いる、という意味です。
タンザニアという国とその人々に寄り添って、タンザニアの今をお伝えしていきたいと思っています。


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