最新リゾート情報(2008年6月)



No.22

草原色の佇まい-ンドゥトゥロッジ
Ndutu Lodge(Ngorongoro)
 岩合日出子さんが書いた「アフリカ・ポレポレ」は、彼女とつれあいの動物写真家、光昭さんと4歳の娘、薫ちゃんの一家3人が一年半に渡ってタンザニアはセレンゲティで暮らした日々の記録である。初めて読んだ20年ちょっと前にも「軍隊アリの行進が家の中に入ってきたとしても、こういう暮らしはうらやましい」と圧倒的に惹き込まれた本であった。岩合さんの文章は滑らかで読みやすく、良い意味であけすけなので、おもしろい。その中でずっと心に残っていたのが、「ちょっとおでかけ」でセロネラの家から泊まりに行ったンゴロンゴロ自然保護区にあるンドゥトゥロッジのことであった。

 この本によると「ンドゥトゥとはマサイ語で、そこが神に捧げられた平和な土地で、人間の騒音によって穢してはならない」という意味だそうである。このロッジはンドゥトゥ湖畔にある。それを越えるとセレンゲティ国立公園になる。簡素で自然の匂いに満ちたこのロッジで母子は束の間、のんびり過ごすのであった。

 それから月日は20数年たっているけれども、果たしてンドゥトゥロッジは期待に違わずにわたしたちを待っていてくれた。今回、セレナ、ソパ、と設備も充実したホテルタイプの宿泊施設を経たあとにたどり着いたせいか、わたしはンドゥトゥロッジにやってきて心底、ほっとしたのであった。ああ、これでのびのびと手足が伸ばせるぞといったような。

 清潔ではあるが、簡素な室内。シャワーは湖の水を使っているので、ちょっとぬるぬるする。食堂にはしっぽが縞々の猫のようだが猫ではない野生のジャネットが住み着いていて、屋根の梁で寝そべっている。焚き火の周りに椅子を並べ、暮れていく太陽を肴にグラスを傾けることができる。湖の匂いや草の匂いをかぎながら。その間も色とりどりの野鳥がわたしたちを冷やかしにやってくる。

 明け方、まだほの暗い時間帯には、ロッジの前、10メートルくらい先にシマウマが数頭やってきてのんびりと草を食んでいた。ロッジを取り囲むアカシアの木々を黄金色に染める朝のひかり。その中を小さなディクディクのカップルが縦横無尽に走り回っている。鳥たちのさえずり。朝早くロッジの周りを散歩するだけで満たされた気持ちになってしまう。

 ンドゥトゥ湖は徒歩圏内だが、危険なので歩いていってはいけないという注意書きがあった。ハイエナなどが出没するらしい。

 晩御飯のメニューは、やわらかく煮込んだ野菜のマリネ、ミートボールとトマトソースのパスタの主菜にもぐつぐつ煮込んで甘くなったボロねぎがたっぷり付いていた。野菜たちがそれぞれの持ち味を出していた。

 今回は1泊しかできなかったけれど、ここを拠点にサファリをしてみたいものだ。2月や3月のヌーの出産の時期には、ここは彼らに取り囲まれるらしい。またその時期にぜひ来てみよう。

   


   *料金*(3食付)シングル$235、ツイン$400、ローシーズン料金あり
  
   















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