ダルエスサラーム便り


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タンザニアの片隅で

鈴木 沙央里(すずき さおり)鈴木 沙央里

第6回 小さな出会いがいっぱい



車と人であふれるフェリーの中から
 土日でキガンボーニ地区(Kigamboni)に行ってきた。Kigamboniはスワヒリ語で「向こう側」という意味。なんの向こう側か。
キガンボーニ地区とダルエスサラーム市街の間には海がある。陸地続きだが、入り江になっているため、迂回していくとかなり時間がかかるのだが、海をフェリーで渡ると10分ほど。キガンボーニ地区は、その意味のごとく、ダルエスサラーム市街からみて、海の「向こう側」なのだ。

  さて、このキガンボーニ地区。私のお気に入りの場所だ。
まずフェリーを降りて右手に進むと、ダルエスサラームの街中では姿をけした露天が堂々と立ち並ぶ。(街中でも、夜や休日になると警察の目をさけて店開きがちょとちょこと行われているが。)

 露天はおもしろい。歩いているだけでもなんとなく楽しくなる。靴を一面に広げた店、石鹸、洗剤などの日用品、なべや食器を並べたお店、シートの上に小分けに積み重ねられたたまねぎ、パイナップルやマンゴーが満載になった荷台。そこを歩くだけでも、だいたいのものが手に入る。以前ほど、簡単に出会えなくなった露天に、簡単に出会えるのが、キガンボーニの魅力のひとつ。


露天の並び
そして舗装道路からちょっと奥にはいっていくと、田舎っぽいのどかな風景が広がる。これがキガンボーニ地区の魅力その2である。
 田舎っぽい風景というのは、緑が残っていて、子どもたちがはだしでかけ回っていて、私のような肌が白く髪の毛がまっすぐな人になれていないちびっこが、私を見て「ムズング、ムズング(白人、白人)」と興味深そうにみていたのに、私が近寄っていくと逃げいてく、というようなのどかさである。
 こんなちびっこはたまらなくかわいい。

 それから、キガンボーニの魅力その3。なんと言っても手ごろに行けるビーチ。ザンジバルほどに観光客は多くはないが、高級ビーチリゾートホテルに加え、もう少しお手軽価格で楽しめるビーチもある。それでも実際にビーチホテルに宿泊したり、そのレスト ランで食事ができるようなタンザニア人というのは限られていて、私が行ったビーチホテルでもお客さんのほとんどはインド系の人々であった。とは言え夕方になると、地元の人やこども達もビーチに遊びにやって来る。
 お金のある観光客にだけ解放された、限られたビーチでないところがいい。


ビーチで
 ダルエスサラーム市内からわずか10分で、のどかな田舎の風景、露天商、バオバブスポット、そしてビーチが楽しめるキガンボーニ地区。
 素朴なタンザニアを感じたい人にはぜひおすすめである。

 さて、ある週末の日。私はビーチで遊んだ後、フェリー乗り場付近の露天が並ぶ通りをぶらついていた。
いつも通りの、焼き付けるような日差し。ふとキテンゲを並べたお店があった。チョウチョが並んだかわいい柄のキテンゲを発見。これでこうして、あーしてこんなワンピースをつくったらかわいいかな、ということで購入。
海で泳いで、ちょっと疲れていた後。体もひりひり熱い。
 ちょっとここで休ませてもらっていい?カンガを頭からすっぽりかぶったお店のお姉さんは快く了解してくれた。
店の端においてあった木の長椅子に腰掛ける。眠くなってきた。次第にこっくり、こっくりきた私を見てお姉さんは、「そこに寝ちゃいなよ」と。

キテンゲ売りのお姉さん
 お言葉に甘えて、長椅子を全部占領して寝かせてもらった。
1時間くらい寝ていたと思う。日本的な感覚だと、なんともずうずうしい客だが、タンザニアではそういった小さなことであまりくどくど言われたり、嫌な顔をされることがない。そういうところは、タンザニアの人々は懐がでかいな、とつくづく思う。

 いろいろな場所で、私がスワヒリ語を話すことがわかると、地元の人々と会話が始まると、毎回毎回決まった質問を次々とあびせられる。どこからきたのか、タンザニアで何をしてるのか、どこに住んでいるのか、名前はなんというのだ。特に男性だと、結婚はしているのか、こどもはいるのか、など…。
 もう何度となく繰り返されるこの質問に飽き飽きしているのだが、このキテンゲ売りの女性はまったく質問することなく、私に休む場所を提供してくれた。それがなんだかあたたかかった。

 お姉さんと別れた後、ふとはいった地元のレストランにフレッシュジュースがあった。こういうところだと、300tshぐらいで、格段においしい100%のしぼりたてジュースがのめる。ローカルでフレッシュジュースを売る見つけた日はなんとなくうれしい。


「お絵かきセット」を見つけたお店で
 もう帰ろうかな、とフェリー乗り場へ向かう。以前あった古着屋のお兄さんに挨拶して帰ろうと思ったが彼はいなかった。だが隣のお店で、歯ブラシやらノートやらにまじって、簡単お絵かきセットのようなものを見つけた。
 絵をかく私にはなにやら魅力的な品。こちらを購入後、お店の奥のスペースにまたずうずうしくも?居座らせてもらい、さっそく絵を描き始めた。モデルはちょうどそこにすわっていたおじさんに決まり。
なかなかうまくはいかないが、それでもお店のお兄ちゃんたちが、興味深げに集まってくる。結局そこでも1時間ちょっとすごして、帰路についた。

 タンザニアを旅していた頃、行く先々でこのような小さな出会いがたくさんあった。休みの日に1人でぶらぶらしている時でさえ、はいった食堂で、お店で、ちょっと腰をおろして休んでいたところで、小さな会話がはじまり、いつのまにか時間がたっている、ということがある。

 以前ホームステイしていたときも、1人でふとさみしくなると、ちょっと散歩にでかけた。今日はこっちへ、今度はこっちの方へ、というようにあてもなく歩いていても、誰かかれかが話しかけてくれ、お茶に誘ってくれたり、一緒に時間をすごすことができた。そんな小さな出会いがうれしいかった。
サファリやビーチリゾートだけでなく、地元の人々に出会いながらの素朴な時間、素朴な旅はやはりおすすめである。

(2008年3月15日)


  *このコーナーでは、鈴木沙央里がタンザニアの片隅で、日々感じ、思ったことをつづっていきます。


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