農村滞在



オルタナティブツアーを終えて/キンゴルウィラ村滞在記・2015年3月

田邉裕大さんより


村の子どもたちと Asante sana. たかだか10日間足らずの私のタンザニアでの滞在を振り返った時、まず初めに頭に浮かぶ言葉です。農村滞在やゲームドライブ、友人宅での生活等、タンザニアのスタンダードな暮らしから贅沢な暮らしまで、てんこ盛りの時間を過ごさせていただきました。観光地を巡るよくある旅行ツアーとの違いを噛みしめながら、その意味を考えながら、存分にタンザニアを感じてきました。

今回訪問させていただいたキンゴルウィラ村での2泊3日の滞在では、マサイの人たちのお話をうかがったり、作物の農場を見せていただいたり、満天の星空に圧倒されたり、子どもたちと遊んだりしていました。印象的だったことを挙げると、全部です。(笑)

具体的にいくつか挙げると、まず、マサイの15歳の少年と話をした時に驚きました。自分よりはるかに歳は若いのに、大の大人と話をしていると錯覚するほどに、自分の考えをしっかり持っていたからです。もっと言えば、それをちゃんと英語という外国語に乗せて、相手に伝えることができていたからです。自分の仕事・役割、今のタンザニアに欠けていること、他の国のことなど、自分の意見を流暢な英語で惜しみなくどんどんぶつけてきてくれました。私の英語はまだまだ未熟なので、どれだけあの少年の伝えたかったことを理解できたかはわかりませんが、まっすぐに話してくれるその姿勢がすごくありがたかったです。と同時に英語という言語の大切さも併せて実感しました。お互いの母国語はまったく違うのに、英語という共通言語があるおかげで理解しあうことができる。もちろん英語を様々な理由で毛嫌いする方もいらっしゃいますが、話せることにはメリットしかないと感じました。

そして村での滞在の半分以上を子どもたちとの遊びに費やした私たちですが、最初は正直、どう接していいかもわかりませんでしたので、恐る恐る子どもたちに近づいていきました。そしてある一人の子にそっと微笑みかけました。するとその子は私の何倍もの笑顔を返してくれ、一気に気持ちが温かくなりました。キラキラした笑顔で遊ぶ子どもたちは本当にかわいく、幸せな気持ちになりました。もちろんタンザニアの教育現場にはそこなりの問題が存在しているはずですし私が見たのはタンザニアの現状のほんの一部の一部ですが、必ずしも日本のように、なにもかもが整ったように見える環境が、皆が目指すべきものではないのではないかなあと、薄々感じました。物体的な何か以外に、今の日本にはないものが、あそこにはあるような気がして、本当に楽しい時間を過ごせました。

村の子どもたちと遊ぶ 今回、村での滞在でお世話になったハミシさん。私はハミシさんに多くの話を聞かせてもらいました。その中で最も印象に残った話があります。それは「将来の夢」に関する話です。私は、学生生活をあと数日間残すばかりの人生の岐路に立っている身として、今現在自分の中にある理想の将来像について話しました。「将来は途上国で仕事をして、現地の人と苦楽を共にしたい」。しかし、ハミシさんのそれは単純明快、「男になること」ということだけでした。というのは、一人の男として、家族を、子どもたちを、守れるようになりたい。というものでした。ハミシさん曰く、「途上国と先進国とでは人の夢の抱き方が違う」そうです。もちろん一概には言えないのは本人ご指摘の通りですが、先進国の多くの若者にとって、お金を稼げてご飯を食べて毎日を生きていける環境というのは、ある意味当たり前、になっているとハミシさんは言います。その最低ラインのことを満たすことはもはや夢ではなく、それよりもそれにプラスアルファで、自分はどういった暮らしを送りたいか、ということに意識がいってしまっている、と。言わば欲張りな考えだという事でしょう。しかし途上国では、今を生きることが最優先です。自分がどうなりたいかなどということよりも、今日を、明日を、みんなで生きていく。ということが目の前に課されている責務である、と。このことは、それまでの私は考えもしなかったことであったので、はっとさせられました。なおかつ、自分も同じ人間として、決して忘れてはいけないものだと感じました。今自分の置かれている環境は決して自分が作り上げたものではなく、当たり前のものではないということ。普段の生活では決して意識しないことを、ハミシさんの言葉によって気づかされました。

この度の様々な学びから感じたことを挙げればまだあるのですが、この振り返りの作業を通じて新たに芽生えた思いがあります。それは、体験や学んだことに対して、自分の観点から感じたことを挙げることは大事なことであるが、しかしそうすることは時に安易で、良くない場合もあると思う。ということです。というより、言葉に表すことができる範囲でのものは、まだまだ突き詰めるべき空間を抱えていると感じます。それよりも私は、私のこの心の中にある、言葉にすることが難しい、しかし何とも言えない温かい気持ち、複雑な想い、心躍る体験それらを、私のつたない日本語に乗せて感想文にすることによって、未来の自分に残すと共に、この感想文を読んでくださっている方がいれば、その方々とも自分の気持ちを共有したいと思っています。

テレビでサッカー観戦 このツアーに参加するまでの私の夢は、途上国で仕事をすること。でしたが、私は帰国後、この夢を撤回しました。まず一人間として一人前になること。特に親に依存しまくっている今の自分を変えること。経済的にも精神的にも、自立して、守るべきものを守れる男になること。これが、社会人になる私の確固たる、新たな夢であり目標です。そしてその先に、タンザニアや途上国へ行って、生活してみたいという夢がくっついてきます。今までの人生とは異次元の体験ができたこと、切に感謝します。観光地だけを回ってただ楽しいだけのツアーでは味わえない、感じ得ないものを、このATに参加したことによって得られたと思っています。

そして最後になりましたが、この度、航空券やその他細かい手配をしてくださったマイチケットのスタッフの方々、現地で私たちのお世話をしてくださったJATAツアーズの方々、どこの誰かもわからぬ私たちを受け入れてくれたキンゴルウィラ村のみなさん、その他出会った全ての縁に感謝します。本当にどうも、ありがとうございました。Asante sana !!



 写真も全て田邉さんより

 

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